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2008ハロウィーン
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いったいいつからここにいたのか、浮上したように意識だけがぽかりとあって自分が何者なのかすらわからない。
薄い暗闇にぼんやりと視界が開け始める。
それから冷たい感触を指先らしい末端に感じて、ゆがて節々の痛みに身体を意識する。


辺りは闇が満ちていて、己の姿を確かめる光もなにもないらしいからどんな形なのかもわからない。
それにいったい何だ?
記憶らしいものも、生き物の本能もどうやら持ち合わせていないというのに、この意識だけがある存在とはなんだろう?



お目覚めか?


突然低い響きの外からの声にびくりと竦み、それから起き上がる。


いったい何者なのだ?


憶えていないのか?
ここは墓場で、生きているものは地に住む虫か月夜の逢引を楽しむ猫達位だから、自ずとそれは知れるだろうが。


おまえは死者だ
起き上がったばかりの
そしてたったひとりの死者の王


声の主は低く笑ってじっとみつめながら近づいてくる。
細い月の弱弱しい光が雲間からかすかに顔をだしてその姿を浮かばせる。
闇のように深い漆黒の闇を纏う、魔物。
すぐ傍らに膝を折ると、その美しい笑顔が楽しげなことに気づかされる。


待っていた、ずっと、と…


闇は深くてけれど、戻ってきたのだとやっとその時思えた。






 

by.blue
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