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2008ハロウィーン
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その一族の集う夜会に招かれた僕は圧倒された。
噂には聞いていたし、実際僕の友人も(僕をその夜会に呼び寄せた男だ)つい最近そのような状況に陥ったばかりだったから。
彼の一族、アッシャー家の男子は誰もが どんなところにいてもまごうことなき印をもっている。

その左手の、小指と薬指が 根元から無いのだ・・・。


どこまでホントで嘘なんだかまったく怪しい話だが、ついに俺自身もこうなってしまったことだし
聞かせてやろうか?うちに伝わる呪いの伝説。

なんなのだ、こいつは。
不遇の身になったのを憂えているのではないかと心配したが、むしろうれしそうですらある。

彼は一族の肖像が飾られている回廊に僕を連れて行った。
そして一枚の肖像画の前に立ち止まり、まっすぐに僕を見て言った。

この男が、事のはじまりだそうだ。
・・・なぜそこで目玉がキラキラ輝くか・・・?こっちが気恥ずかしい、直視できない。

いや、ほんとに胡散臭くってどうかとも思うんだがな。
この男、生前に魔女だか悪魔だかに魂を売ったらしいんだな。
なんのファンタジーだ、お前らしくもない。

つまり、よくある魔界の者に恋をしてハートを差し出すと誓ったというたぐいだ。
ところが彼は心変わりした。約束を強引に反故にして彼にとっての真実の相手と結ばれた。
おとぎ話でもまずい展開じゃないか、魔界のものを裏切るとロクな事にならない。

そして事が起こった。
誓いのリングをはめた指とそのとなりにあった優しい小指がその骨ごと 彼の身体から切り落とされた。

僕は 尻の先からおぞ気が立ち上がるのを感じ、身震いした。

まぁ、そういうことらしい。
・・・なんだよ、どういうことだよ?

アッシャーの、こバカにしたような目が僕にすべり、言った。
だからその魔女だか悪魔だかの復讐だろ?よっぽど執着してたんだよ、この男に。
自分が欲した魂を他の者に盗られる位ならそんな指、永遠の誓いなどさせるもんかってな、バッサリ。
そんなこんなで、彼以降、わが一族の男には呪いがかかったといわれているわけだ。

魂を差し出す相手が出現すると、何かしらの原因で指を失う。まことしやかに語り継がれているロマンチックなおとぎ話さ。

彼は、失った指をいつくしむようにそっと傷ついた左手をさすりながら・・・

どうして僕を そんな目で見ているんだ?
目、目が、はなせないっ!!

急にノドが渇いて生唾を飲み込んだら、派手にゴキュッと音が出てしまった。
アッシャーはそこで会心の笑みをみせてから僕に、熱い飲み物でものもうか と 誘った。

深追いしてはいけない。これは悪魔の罠だ。
どうしたんだ、僕よ!


それにしても見事に、アッシャー家の男たちには指が無いのだった。



 
by.Purple



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