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2008ハロウィーン
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白いゴーストがたくさん飛んでゆくよと
子供が指差す夕暮れの空を見上げてみたけれど
彼にはなにもみえなかった。

あっちにはかぼちゃ畑があるからそこで集会があるんだね

また子供が鈴のような声で笑っていう。
かぼちゃ畑は確かにあったけれど、ゴーストは集うのかしらん?と
彼は首を傾げて考えている。
夕暮れのオレンジ色はゆっくりゆっくり消えてゆきそろそろ夜に溶ける。

寒くなるから家に帰ろう

声をかけても子供はじっと彼方をみつめたままで歩き出そうとはしない。
ゴーストはそんなにいいものなのかな、と彼はまたじっと考え込む。
絵本でみたゴーストは白くてふわふわしてつかみどころがない
まるでクラゲかなにかみたいにあやふやなものか
或いは怖い怖い化け物の姿をしていたのに。

いいなあ、ゴーストの集会

子供の声がまた零れる。
小さくてまだ何も知らない子供だけにかけられる魔法があるのかも
きっといつも大人が読むような本ばかりに囲まれている彼にはかからない魔法が。
それでこっそりよびあつめていきなり襲いかかって仲間にしてしまうんだ。
だからゴーストたちはそんな子供にだけみえるし聞える声で誘うんだろう。

だめだめ、おかあさんが待ってるから早く帰ろう

子供の手を握りしめてもういちどじっとその目を覗き込んで彼が言うとようやくとぼとぼと小さな足が動き出す。
夜も気をつけなくてはいけない。
ゴーストたちにさらわれてしまわないように、子供がきちんと眠っているか朝までずっと見張らなくちゃ、と
彼は心の中でだけ呟いてちっとも早くならない足をできるだけ急かすようにして歩く。

遠くにぼんやり家の灯りがみえてくる路を小さな二つの人影は辿る。






 
by.blue
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今日も砂漠のどこかから、人々を恐怖に突き落とす死者の咆哮が聞こえる。


私がこの発掘隊に加わってこんな辺境の砂漠に来たのは、まだ発見されていない王墓をみつけるためだ。
未だめぼしい遺物は見つかっていないし、ここがその場所だという確証も無いわけだが一つだけ、ここにはミイラ男の亡霊が出るという噂があるのだ。

うう・・・、やっぱり砂漠の夜は寒いな。
しょんべんついでに、少し歩こう。

満月に近い煌々と輝く月をみあげて用をたす。
そこに静寂をつんざくような男の悲鳴が轟いた。
私はなりを整えるのもそこそこに身を隠し、様子をうかがった。

遠めに、白くふわふわした人型のようなものが見える。
叫んでいた人間はもうおらず、白く照り映える銀盤のあしもとにいま姿を現し始めているものは、そのぼろぼろの染み垂れた包帯を、美しい褐色の肌に変化させはじめている。
生唾を、飲んだ・・・。
風に乗ってきた、強いミルラ香が鼻をくすぐる。
いまや完全にしなやかな青年の姿となった彼は、付き従う犬とけむりのように定まらぬ姿の何人かの従者に囲まれて空を睨んでいた。

「もうあんな無茶ないたずらはおやめになったらいかがです?」
「つまらぬことを言うな。これぐらいして気を紛らわせねば、どうやって時を潰していけというのだ。」

砂漠を、風が吹く。
古の王が、すでに帰還を果たした魂と、甦ることの無いその身体のはざまで彷徨っている・・・。

雲が、月を隠した。
王の姿がゆらいで 消えた。

月夜の晩には、彼は人だった頃の姿でこの砂漠を駆けるのだろう。
この砂漠のどこかにいるのだな。
わたしが探しているのは、君の骸なのだな?
きっと、探し当てて見せよう。
そして月光の中で語り明かせたら、と、夢想してみた。

また、月が現れた。


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by.Purple



月夜の台所でこっそりとつくるのは甘い甘いお菓子のかぼちゃ
パンプキンパイやプリン
白い粉で練ったゴースト
チョコレートをたくさん溶かして、焼き上げたばかりのスポンジにとろとろとろとろ垂らして
秘密のパーティーの夜はもうすぐ

たくさんたくさんクッキーも焼いてキャンディーも用意して
それからきれいな色のマシュマロ

はやくあいたい

たくさんのゴーストや狼男やドラキュラ
わけのわからない衣装の派手なひとたちもおおぜい
たのしいハロウィーンの夜がもうすぐやって来る

はやくあいたい

今年はこっそりドアを開ける前に魔女の帽子をかぶってマントをつけて
ほうきをつかむ
髪はちゃんとカールしてるかな、なんて最後に鏡を盗み見ることも忘れないで
お菓子を渡したらきっと一緒に行こうって言ってくれるよね?

まだまだ新米の魔女をつれて
おおきな黒いマントをなびかせて
夜の闇の中に



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by.blue
だいたいいつもこの時間帯は、こうやって外で煙草をふかすのがオレの習慣だ。
午前2時半前後、起きているヤツもいるんだろうが部屋から出てくることはないし、新聞屋や 歩きたがりの健康マニアたちのお出ましにも少しの余裕がある。
今夜は小雨が降っている。もちろん星なんかは見えないだろよ。
くわえタバコのまま空を見上げていたら、何かがやけに近くでちらちらしている。

・・・。
なんなんだこれは。
悪ふざけというにもいったいどうやってるんだ?
煙草のまわりをぐるぐるぐるぐる踊りながら円をなして回転しているヤツラがいるじゃあないか。
バカいっちゃあいけない。小人だの妖精だのがこんなイカレタステップを踏むもんか。
だいたいなんだ、そのなりは。チンドン屋か、道化師か?
それともなんだ、どっかの貴族か?はたまた戦火をくぐってきたってか?すべて勝手で目茶苦茶じゃねぇか。
灰が落ちるが、取り成すことも躊躇される小さい踊り手たちが、まさにオレの目と鼻の先で踊り狂っているなんて、キャンプファイアーじゃねぇんだ、いいかげんにしろよ、幻影め。

チッ!目がまわるじゃねぇか、うざってぇ。
オレの時間を邪魔すんな。

そんなことを考えたのが伝わったのか。

ヤツラがいっせいにオレの目を見た。
変な具合に歪めながらの体勢で、顔だけは、すべてがオレのほうをむいている・・・!
笑いながら踊っていたはずのその目を見開いた様子は、なんとも不気味で無表情な暗い空洞、のくせに全身から憎悪感剥き出してんじゃねぇよ・・・!
なんだ、やっぱりやばいヤツラか!さて、どうするかな、オレ?

ヤツラは踊っている。
オレの目を見据えながら、煙草のまわりを回っている。
その時、もう残り少ない葉っぱのはずが、油をしみこませた布さながらにいきなり猛烈に発火炎上したのだ!
なんだよ!勝手にやってきて踊り狂って静かなオレの時間をぶち壊した揚句に火だるまにしようっていうのかよ?!
紅い炎に顔面をなめられながら、その熱さ痛さに、オレは絶叫した。ヤツラがオレを見て、嗤っているのがわかった。


・・・。・・・・・。
あれ?生きてるのかオレ?
それともまさかあれは夢とか。オレが夢なんかに振り回されたって言うのかよ、まさかだ。じゃあ、なんだってこった?死んだか?よせよ。
腑に落ちないまま部屋にもどり、顔を洗おうとして鏡を見たときゲンジツを悟った。

オレのトレードマークのヒゲと鶏冠が、焼け焦げ縮れていた。

いいかげんにしやがれってんだ!悪霊ダンサーズめ!
元に戻せっばかやろう!






by.Purple

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「行っくよ~!」





thanks! やし chan.




  
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